学生の研究指導について

環境政策科学研究の進め方は千差万別です。研究テーマも各自異なりますし、方法も異なります。ここでは研究テーマを絞っていくための、研究方法を選択するための、基礎的な知識を身に着けるための、一般的なことをスライドで紹介します。
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環境政策科学研究への誘い

持続可能な社会づくりが環境保全の目標です。持続可能な社会を構築するためには、環境が保全されるだけでなく、社会的にも経済的にも持続可能でなくてはならないと考えられています(p2)。さらに、人間活動は有限な地球の資源の範囲内で持続的に行われなくてはなりません。環境の世界には5本のシュプールがあります。それらは時代とともに変化してきました。産業公害のように問題の重要性が相対的に低くなってきた分野もありますが、新たに生じた問題を吸収して守備範囲が広がったり、科学的な知見が高まるにつれてますます重大性を増している問題もあります(p3)。
以上の二つのこと、つまり、1)持続可能性の理念を踏まえて地球資源の制約を考慮すること、2)5本の環境シュプールが縁どっている領域が環境政策科学研究の舞台になります。そして、環境政策科学研究は自然科学を踏まえた環境政策の行政過程に関する「社会科学的な研究」です。研究テーマになりうる事例をp4のスライドで説明しています。
研究に取り組むスタンスとして重要なことは、現在の環境保全論に懐疑的な視点を持つこと、環境の課題を部分的に捉えずに社会経済の全体構造の中でとらえることが重要です。論理だけでは説明できない情緒的な動機をもつ人間の行動にも着目しなくてはなりませんし、日本だけでなく世界の状況を見据えることが必要です。環境政策科学研究のアウトプットとして期待されるのは、①個別の事象の子細な実情調査と歴史的レビューから真相を突き止めること、②事例研究を通じて見出される社会現象を一般化して理論的に説明すること、③新たな環境政策の提言を志向することの三つです(p5)。
一例として温暖化問題を考えてみましょう。地球温暖化対策をどう進めるべきかの現在の議論は、自然科学の知見と、社会科学的な論理と、人間の価値観や生活感覚などが複雑に入り乱れたままです。国連外交上のスケジュールはp6のとおりですが、東日本大震災以降のエネルギー事情が、わが国の温暖化政策のレジームを大きく変えました(p7)。わが国固有の事情が作り出すレジームを読み解くためには、低炭素化に寄与する各種対策技術の進展と普及の可能性を判断することも必要です(p8、p9)。単なる技術論や環境倫理、環境経済学の手法を突き進めるだけでなく、レジームの解析に基づいて温暖化対策のあり方を総合的に論じることがいま必要になっているのです。
また、環境政策科学研究を進めるために必要な土台を整理すると、①環境に関わる科学・技術について一定の知識を持つこと、②環境保全のための社会システムの実情と課題への理解を深めること、③現在の環境政策の体系が、どのような歴史的な経緯の中で発展してきたものかを正しく理解すること、④環境保全の制度の論理と手法を読み解くことです(p10)。環境政策科学研究の課題を学生さんにわかりやすくざっくりと示すとp11のとおりです。p12~14には吉田研究室を卒業した修士生の研究テーマをMapping・分類してお示ししました。最後に最近の私の研究成果などを整理して掲載します(p15、p16)。

≪参考≫http://cnt.waseda.jp/ocontents/contents/open/taiken/daigakuin/40_08_yoshida_01/start.html

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