研究室概要

環境政策科学研究について

世界中の国々で、環境政策の目標は「持続可能な社会」の達成に置かれています。環境政策の成功は多くの場合、科学技術の発達に支えられてきました。でも、科学技術の力だけで政策は動きません。社会を構成するすべての人々の合意と役割分担が必要です。環境政策科学研究は、これまでの環境政策を歴史的に検証しながら、政策が何によって時に加速され、何によってまた停滞するのかを考えていきます。そこには環境問題を巡る複雑なレジームが見えてきます。例えば、地球温暖化は今世紀のもっとも深刻な環境問題で、世界の温室効果ガス(GHG)の排出総量を早期に大幅に減らす必要があることは明らかです。しかし、その技術的な方策の目途は立っていません。また、国連外交の最重要課題とされていながら、GHGの排出総量を大幅に削減するための国際約束はいまだに合意に達していません。 ≪もっと読む

大学院での研究指導と成果

私が籍を置く環境・エネルギー研究科は、早稲田大学理工学術院に帰属しているために、理系大学院だと思われがちですが、文理融合を標榜する複合系の大学院です。私の研究室でも環境科学や環境技術を視野に入れますが、科学・技術を開発したり、実験や数値シミュレーションを行う研究ではありません。環境科学や環境技術が環境政策に及ぼす作用を政策的、歴史的に分析する「対象」として取り扱うのです。環境政策科学研究は社会科学に属します。研究室の院生の研究指導の方針や考え方を≪こちら≫で、また、2007年以来の院生の研究実績などを≪こちら≫でご紹介します。

大学院の特徴ある授業ー北京大学との連携ー

世界が持続可能な社会を実現できるかどうかは、人口大国である中国やインドの今後の発展のあり方にかかっています。特に日本は中国と一衣帯水の関係にありますから、中国との環境協力を強めていかなくてはなりません。私の研究室では大学院での高等環境教育の分野での日中連携を深める努力を続けています。環境・エネルギー研究科と北京大学の環境科学与工程学院は、2009年から共同授業を実施して学生間の交流を続けてきました。「日中環境実践研究」と称するこの共同授業では、両国の環境保全と持続可能な発展のための政策を学ぶだけでなく、合宿方式で熱い討論を行い、相互理解を深めています。(イベント情報参照)また、この授業には早稲田の環境・エネルギー研究科に在籍する留学生も毎年多数参加しています。一方、北京大学との『持続可能な発展』領域でのダブルデグリープログラム(DDP)も2012年度から始まりすでに3年が経過しました。この間、5人の北京大学生が環境・エネルギー研究科に留学しました。「日中環境実践研究」の沿革と詳しい授業内容などについては≪こちら≫をご覧ください。

学部生のオープン科目と副専攻「戦略的環境研究
             ーリテラシーとしての環境学の勧めー

環境に携わる人々の間で長らく論じられてきた命題に「環境学は成立しているか?」があります。環境学が確立しているかどうかは別にして、昨今の環境を巡るかまびすしい議論をみる限り、少なくとも「現代環境論」は存在します。ところが、かつての公害防止と自然保護が環境保全であった1970年代と違って、現在の環境論は温暖化から生物多様性、有害化学物質による環境リスクに至るまで、あまりにも守備範囲が広く学ぶのが難しいのです。そこで、リテラシーとしての環境全体を俯瞰するには、どの学部の学生も履修できるオープン教育科目と全学共通副専攻の仕組みが有効です。私は全学共通副専攻の一つである「戦略的環境研究」のコーディネーターを務めています。あなたも副専攻で環境を修めてみませんか?戦略的環境研究を修めるために受講が必要な履修科目は毎年度少しずつ変わりますから、以下のURLでチェックしてください。
☛ ≪http://www.waseda.jp/gec/wp-content/uploads/2014/02/minor_17.pdf